Bicycle−つれづれなること熔接(3)ブレーキ以前乗っていた自転車でも困ったことがあった。しかもそれは,運動エネルギーを熱エネルギーに変換して放出する装置,すなわちブレーキだった。現在の自転車は前後輪ともVブレーキだが,前のはカンチブレーキだった。いずれもフォークに熔接された軸で車輪を挟むものである。また構造に関わりなく,ブレーキゴムは,上から見て,平行であるかそれより少し「八」の字になっている必要がある。それが逆になると,車輪がブレーキシューを引っかけて前方に押しやり,軸にかかる負担が過重になり,ついには折れてしまう。 この最悪の事態を,自転車を買ったその年のうちに経験してしまった。歩くより少し速いぐらいの速度で走っていてブレーキをかけたところ,前輪のブレーキの動作が変だったので,見てみると,カンチブレーキの片方の軸が外側にむかって曲がっていた。手で押し戻そうとすると,今度はポッキリと折れてしまった。 多額の費用を投じて再び熔接する気にもなれず,ダイヤコンペを買ってきて代用した。シューの位置には注意していたが,やはりかかる力の大きさは如何ともし難く,アルミダイキャストのそれは,使っているうちに曲がってきた。そこでたたいて形を直したり,それでもダメなら交換するということを何度か繰り返してきた。 新しい自転車に買い換えて,この作業からは解放されたものの,この種の心配から解放されたわけではない。制動力の大きいVブレーキでは,軸にかかる負担も大きくなるであろうからだ。また前輪のVブレーキを急にかけると,前方につんのめって放り出されたり,転倒(顛倒!)したりすることがあるので,その対策としてABSシューを利用している。これは内部のスプリングで,制動力が過剰にならないようにするものだが,同時に,この作用によって,かつての二の舞となるのを防ぐことを期待しているのだ。 かくしてこれが「熔接」との「永続的かつ不可避な闘い」の第一歩となったのである。 (2001.6.25) |