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Bicycle−つれづれなること

失敗

ウォークマンと落とした鞄

大学入学で東京に来て,その年の夏にマウンテンバイクを買い,1年の後期から自転車通学を始めた。かくして満員電車から解放されたが,その解放感が新たな失敗を生み出した。

大学1年生(ちなみに,関東の大学では「1回生」という言い方はしない)の時の下宿から大学までは40分ほどだったので,途中ウォークマンでカセットテープを聴きながら行くにはちょうどよかった。おのれの経済状態を顧みず,オーディオにも金と手間をかけていた私は,メタルテープを使って高級カセットデッキで録音し,たかだかウォークマンで聴くテープにも高音質と重厚感を要求した。その当然の結果として,この時も,かなりの音量で聴きながら自転車に乗っていた。

かくして音楽のリズムに合わせて調子よくペダルをこいで大学に着いたとき,荷台に附けた籠に入れてあったはずの鞄がないのに気付いた。本のたぐいはともかく,ノートや手帳がないのには参った。こうした情況なので,どこで落としたか心当たりはない。もっとも途中赤信号で止まったときにはあったはずなので,その辺まで戻って探してみたが,見つからなかった。

どういう関係なんだ!?

幸いにして翌日,大学近くの警察署から,遺失物拾得を通知するはがきが届いた。警察署に行って鞄を受け取ると,拾得して下さった方の名前と連絡先を教えられた。大学近くに住む女性だった。早速公衆電話からかけてみた。

この時ちょっとした事件が起こった。

 「私,早稲田大学の学生でHARAと申します。○子さんはいらっしゃいますか?」

というと,電話に出た男性は,いきなり,

 「うちの○子といったいどういう関係なんだ!?

と,怒鳴るのだった。余りの剣幕にビビッて,電話を切ってしまいそうになったが,何とか勇気を振り絞って,ことの次第と一言お礼を言いたい旨を説明した。すると彼の態度が一変,今度は上機嫌になった。

拾い主の女性は,声からして,この男性よりかなり若そうな感じだった。

あの瞬間,ビビッて電話を切っていたら……,ありもしない“不倫”を巡って大喧嘩の挙げ句破局,ということもあったかもしれない。そうなれば,善意を踏みにじるどころの話ではない。

かくして,以後,ウォークマンを聴きながら自転車に乗るのはやめることにした。

最近再び

↑の一件からかなり長い間,自転車に乗りながら音楽を聴くことはしなかったが,昨2000年再開し,爾来時々やっている。副業のための自転車通勤が片道30〜40分で,しかも仕事がきつくなったためだ。テンションを上げて力不足を補う場合と,静かな音楽でリラックスする場合とがある。

今度はFMを聴くことが多い。以前のように良質で個性的なカセットテープが少なくなったことと,BGM的に聞きやすいFM番組が増えたためだ。

もちろん音量を抑えていることは言うまでもない。

ミニチュア自転車
自転車のミニチュア(いただきものです)

(2001.4.4)

Bicycle-つれづれなること: